忍者ブログ

「子供が傷だらけになってたらびっくりするでしょ。転んだのかもしれないし、誰かに殴られたかも。"どうしたの?"って聞くでしょ。それが心配。なんでもないよって言われたら、答えてくれない理由が知りたくなるでしょ。それが不安。"守ってあげたいだけなのに、どうして教えてくれないの?"って。でもその子は自分が怪我したことも知らないし、ちくちくのいばらの森に突っ込んでいくことが、自分を強くする唯一の道だと信じきってる。だから、別にこれは普通のことだ、みんないばらに突っ込んで強くなるのだから、自分もそうやって強くなるんだ、って思ってる。なんでもないんだ。本当に」
「もし、"どうしたの?"って聞かれたときに、"いばらの道に突っ込んだんだよ"、って言ったら、例えばハチコだったら、"なんでつっこんだの?"って僕に聞くかもね。"強くなるためだよ。みんなやってるからね"。そこでハチコは"なるほどね…"。それから"強くなれればいいの?"。ハチコは大人だから、いばらにつっこまないでも強くなれる方法を知ってるんだ。隣町までいけば先生がいるとか、橋を渡っていけば安全だとかね。それにハチコは…すごくラッキーなことに、お助けキャラなんだ。どうしてもいばらの道が行きたければ、"仕方ない、これを持って行きなよ"って剣をくれる。"鯉壱は言ったって聞かないからな、俺もついていくよ"って言うかもね。それが相談っていうこと。でも僕は強くなるために一人で行きたいんだ。"僕一回試してみたいから、もし僕が失敗して帰ってきたらその時はついてきて"、とかね。これが意思疎通。コミュニケーション。ハチコは”わかった、じゃあここで待ってるよ。ところで晩御飯は何がいい?"。僕は、"オムライス!"って言う。今日のいばらの道をがんばれば、オムライスが手に入る仕組み。ハチコはそういう、今まで説明した…そういう単純な会話を引き出すのが上手い。最初の、"どうしたの?"って聞くところが上手いんだ」
「話せないことは悪いことじゃない。全然悪いことじゃない。でも打ち明けたいのにできなかったりすることもあるでしょ。そういうことは、環境が整えば話せるようになることがある。環境というのは、話してもいいかな、と思えるくらい信頼できる人が、話しやすい雰囲気で、話してもいいタイミングで、話しかけてくれることだ。聞きだすのは逆効果だったりするし。ようは聞く側の問題なんだ。高度だよね、聞く側って。だから、"聞くことこそが愛だ"っていう人もいる。僕はハチコに会ってからすごく自然にいろんなことを話せるようになったよ。ハチコって…ぜんぜんモンスターっぽくないしそれに…ヘタレの弱虫だもん」

2018/02/13(Tue)
ADMIN
忍者ブログ [PR]

PR